第51回京の冬の旅 非公開文化財特別公開寺院「妙心寺 大雄院 」さんを尋ねました。

凄い軸が掛けてありました(大雄院蔵)。私見ですが「十一面観音像」のほうが素晴らしいと思いました。冬の旅が終わると京都国立博物館に保管されるとの和尚様の言です。書院の床の間に掛けて有りますが、結界もなく間近で観られる最初で最後の機会と思われます。

中国で描かれた楊柳観音と日本の十一面観音の画像である。
楊柳観音は、柳の一枝を指した水瓶を持ち、蓮弁の上に立って観音が住まう補陀落山から渡海する場面を描いている。墨線のみで描いた白描画の優品であり、北宋時代の名手・李公麟が描いたと伝えられてきた。実際には、白描画の流行が終わりを迎える元時代末期から明時代初めの作であるが、波うねる大胆な構図に合わせた、観音の精緻な描写が特徴である。
中国画の楊柳観音とは対照的に、十一面観音は金身できらびやかな図像である。東大寺二月堂に伝わる二月堂曼荼羅をはじめとする観音像を元にしており、南北朝後期から室町時代初期の作と考えられる。
本来、この二幅につながりはないが、ともに波の上に乗る図像ゆえ、後世になって同じ軸箱に収めるようになったのであろう。両幅には明治二十六年(一八九三)に臨時全国宝物取調局が発行した鑑査状が附属しているが、長年ほとんど公開されることはなかった。今回は「冬の旅」にあわせて、特別に展示するものである。
(京都国立博物館)

十一面観音像                     楊柳観音像