個人投資家の証券会社を選び方と戦略売買 新NISA対応
取引ツールが充実しているプラットフォームがある証券会社
機関投資家のみが使えたアルゴリズム取引(アルゴ注文)が使える証券会社
個人(日中働いている人:常に場を見てられない)が株を売買するには戦略を立て売買しないと資金管理がきっちりと出来ない。
特に2024年から始まる新NISAだが成長投資枠でも240万円、個別銘柄で行うには枠が少なすぎる。はやり特定口座で運用しなければ戦略的に増えない。そこで、活躍する売買方法は”トレイリング注文”だ。
あらかじめ購入前に”損切り”と”利食い”のルールを設定できるので、株価の動きに一喜一憂する必要がなくその結果「損失を限定しつつ、利益をできるだけ伸ばす」ことができるのだ!
目次
1.アルゴリズム取引とは
事前に設定された条件に基づき、指定銘柄の株価変動などを常にモニタリングして、条件が満たされればコンピュータが瞬時に注文を行う取引のことをアルゴリズム取引と言います。手入力による発注と比較して圧倒的な速さで発注でき、すばやい約定(注文が成立すること)が可能です。
元々は機関投資家向けに開発された取引手法であり、トレーダーが常に株価を監視して多数の注文を行う作業を自動化する目的で開発、導入されました。その後、取引の多様化に応じて様々な条件設定(アルゴリズム)が開発されました。極端な例ですが、短期での利ザヤ(売買による利益)を得る投資と中長期を見据えた投資では、アルゴリズムが違うことが想像できると思います。また、同じ投資目的であっても投資対効果を大きくするための工夫が施されてきました。最近ではAI技術の導入が研究されています。
アルゴリズム取引を行うには、サーバーやネットワーク環境などの設置、及びプログラム開発が必要です。それゆえ、個人投資家がアルゴリズム取引を行うには資金的にハードルが高い状況でした。近年、アルゴリズム取引の一部の機能を個人投資家向けに提供する証券会社が現れてきています。つまり、個人投資家でも、取引ツールを通じてアルゴリズム取引が出来るようになってきました。
【1-1】アルゴリズム取引と高頻度取引(HFT)
アルゴリズム取引を行うにはコンピュータをネットワーク環境が必要です。投資対効果を大きくするためには、アルゴリズム開発と同様に「いかに早く注文」できるかが重要です。現実にはミリ秒単位(1ミリ秒=1/1000秒)で他社より早く注文を行うかの競争が繰り広げられています。このような高速注文を行えるシステムを高頻度取引(HFT:high-frequency trading)と呼びます。「アルゴリズム取引=高頻度取引」ではなく、「アルゴリズム取引の一部に高頻度取引がある」という位置付けです。
話が少し脱線しますが、0.001秒でも早く注文を出せるシステムを構築するという実話をもとにした映画「ハミングバード・プロジェクト」が2019年に公開されました。アメリカのスプレッド・ネットワークス社がニューヨーク州までの1600kmを”直線”で設置し、年間500億円の利益を狙う内容です。誰よりも早く注文することに熱狂した人たちのドラマが楽しめます。
話を戻します。高頻度取引を実現するには、取引所側のインフラも高速化する必要があります。2010年、東京証券取引所が高頻度取引に対応した取引システム「アローヘッド」を導入し、順次さらなる高速化などの改善が行われています。2019年の改善では、注文応答時間0.2ミリ秒まで高速化しています。
一方、高頻度取引が原因で、好材料や悪材料が出た時に株価が大きく変動してしまうと言われています。ミリ秒単位での大量注文が、株価が大きく変動する要因になっています。
【1-2】アルゴリズム取引と楽天証券のアルゴ注文
投資対効果の拡大を狙ったアルゴリズム研究により、多種多様なアルゴリズムが開発されてきました。株価だけでなく、経済指標やニュースまでもが条件に加えられているものがあります。前述の通り、アルゴリズム取引は機関投資家向けの機能でしたが、近年はアルゴリズム取引の一部を個人投資家でも簡単に利用できるようになりました。楽天証券では、アルゴ注文と称して5種類のアルゴリズム取引( アイスバーグ注文、スナイパー注文、トレイリング注文、リザーブ注文、リンク注文)を提供しています。個人投資家でも「常に株価をサーバーに監視させて、複数の発注作業を自動化する」ことが可能です。取引条件を設定しておけば、パソコンの電源をオフにしていても株式の売買が自動的に執行されます。楽天証券のスマートフォン向けアプリ(iSPEED)を利用すると、外出中でもアルゴ注文の執行状況を確認できます。なお、楽天証券のアルゴ注文は、専用の取引ツールである「マーケットスピードⅡ」から利用できます。
アルゴ注文では、事前に楽天証券のシステムに取引条件を登録しておきます。この時点ではまだ注文は行われていません。取引条件が設定されると、取引システムによる株価の動きの監視が始まり、条件が合致すれば自動的に注文が行われます。(マーケットスピードⅡのみで設定可能)
【1-3】リンク注文 (株を売買する戦略に使用する)
相場や途中の約定結果を確認せずに、連続して最大10の注文を行えます。リンク注文が有効なケースの1つはIFO注文(イフダンOCO注文)です。
新規注文(例:買い注文)と決済注文(例:売り注文)をあらかじめ設定しておき、新規注文が約定したら決済注文を行うことをIFD注文(If Done注文)と言います。例えば株価の値上がりが期待できる銘柄に対して、希望の指値で買い注文が約定したとき、さらに高値で同銘柄の売り注文を行う場合です。
もちろん、購入した銘柄の株価が必ず上がる保証はありません。そこで、決済注文で指値(利食いでり売却益を得る)と逆指値(損切りで損失額を確定させる)を同時に設定した注文方法があります。これをIFO注文(If Done-OCO, One Cancel Other)と言います。
出典)https://www.rakuten-sec.co.jp/web/learn/seminar/pdf/caravan_20181117_02.pdf
IFO注文をすべて自動的に行うためにはリンク注文が便利です。「利益確定+損切り」の同時設定だけでなく、アルゴ注文の1つであるトレイリングも設定できます。
IFO注文、及びトレイリングを行う場合、リンク注文を利用すれば、楽天証券の取引システムが自動的に処理してくれます。一方、リンク注文を行わない従来の注文方法で行えば、大変な作業量となり、発注ミスや他の銘柄が扱う時間がないなどの機会損失になります。リンク注文は個人投資家の方にとって有益な機能です。
まとめ
楽天証券は5種類のアルゴ注文(アイスバーグ注文、スナイパー注文、トレイリング注文、リザーブ注文、リンク注文)を個人投資家向けに提供して注目を集めています。個人投資家でもアルゴ注文を活用すると、他の投資家が気付かないような株式の注文やIFO注文のような株価の動きに対応した複数の連続した注文を自動的に行えます。さらにアルゴ注文では株価の動きによって瞬時に発注されるため、手入力より圧倒的に早い発注が可能です。もちろん、発注ミスなどの人為的ミスも少なくなるでしょう。
5種類のアルゴ注文の中でも、スナイパー注文、トレイリング注文、リンク注文の利用価値が高いと思われます。実際に利用してみて各々の活用方法を見出しましょう。例えば株式運用の作業効率の向上が期待されます。多くの個人投資家の方の内、パソコンの前で株価のチェックや注文処理をずっと出来る人は少ないと思います。あらかじめアルゴ注文で株価の動きに合わせた設定をしておき、必要に応じてスマホアプリ(iSPEED)で執行状況を確認するスタイルも可能です。
一方、アルゴ注文を取引システムに登録すると、株価の変動などに応じて”躊躇なく”発注を実行します。そのため、アルゴ注文の登録には細心の準備と設定ミスがないようにしなければなりません。
今後の個人投資家の株式運営において、アルゴ注文を積極的に活用すべき時代になったと言えます。アルゴ注文で投資機会を増やし、利益拡大を狙いましょう。
逆指値注文とは?(参考単語)
「価格が上昇し、指定した値段以上になれば買い」「価格が下落し、指定した値段以下になれば売り」とする注文方法です。通常の指値注文で、それぞれ、「指定した価格以下で買い」、または「指定した価格以上で売り」とすることと逆の注文方法であることから「逆指値」と呼ばれます。
また、通常の指値と逆指値を組み合わせた注文方法もあります。これを「逆指値付通常注文」と呼びます。
・トレンドフォロー
株価が前回高値を上回った場合、一般に順張りの相場であれば積極的に投資するチャンスだと言われます。
こんなときに逆指値注文を利用すると、タイミングを逃さず投資することが可能です。
・ロスカット(損切り)
事前にロスカット水準を決めておき、買付けた株式が値下がりしたらロスカットするのも、損失拡大を防ぐ有効な方法です。
このように逆指値注文はリスクコントロールに役立ちます。
・利益確定
株価が順調に値上がりして評価益が出ているので、多少値下がりしても一定の利益を確保したいというときには、逆指値注文が便利です。